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管理人:とれふる
Pixiv
TINAMI
インタビューズ
神のみぞ知るセカイを人生の主軸、少年サンデーとアニメを人生の原動力としている人。
絵やSSもたまに書きますが、これは人生の潤滑油です。つまり、よくスベる。
ご意見・ご要望があれば studiotrefle0510☆gmail.com の方まで、☆を@に変換してお気軽にどうぞ。
鮎川天理さんからの求婚もお待ちしています。
ルキノさんとの合同小説である神のみSS、その第二話です!一話はこちら。リレー形式の更新なので、今回は自分が内容を書いています。内容の稚拙さには覚悟して読んでくださいね(おい)!
1
「……とりあえず、天理に会って情報を得るか」
瑠乃と出会った翌日、桂馬は学校を終えて帰宅している。本来ならエルシィと共に行動をするべきところだが、舞校祭にむけてのバンドの練習があるらしく同行していない。どっちが大事だと思ってるんだ。
「あ、神さま! これだけでも持っていってください!」
そう言ってエルシィが渡してきたのは、十五センチ四方ほどの小さく切られた羽衣だった。……何に使うんだこれを、と桂馬は思ったが、とりあえず受け取っておくことにする。
「これだけあっても意味ないだろ」
「今のうちに変形させておけばいいんですよ!」
今のうちって、桂馬はまだ瑠乃についての何の情報も得ていない。ルートもなにも見えていないのに決められるわけが……
そう反論しようとして、桂馬は思考をもう一周巡らせた。そして「答え」にたどり着き、エルシィに羽衣の変えるべき形を要求した。
「ヌルヌルさせろ」
「……はい?」
「だから、ヌルヌルさせろ、この羽衣を」
エルシィは不思議そうに首をかしげた。
いつもどおりの帰路を歩き、桂馬は自分の家の隣にある天理の家に到着した。躊躇することなくインターホンを押し、中から天理が出てくるのを待つ。
鳥羽瑠乃……今のところでは情報が少ないのでなんとも言えないが、駆け魂が入っているということは心にスキマがあるのだろう。ゴスロリ少女のスキマ……桂馬の中には一つの予想が組み立ててあった。ゲーム的にはありがちな展開……すなわち。
現実を嫌い、そういうゴスロリ側の世界に入り浸っている可能性。
そうだとすれば、かなりのありがち展開だ。エンディングだってたやすいだろう。ともあれ、確認してみなければ分からない。
そうこうしているうちに、鮎川家のドアが開いて中から天理が出てきた。小さく会釈する天理を構わずに、すぐに本題へと入る。
「単刀直入に聞く。鳥羽瑠乃の心のスキマに心覚えはあるか?」
「……桂木さん、お帰りください」
なに?
その言葉を聞いて、桂馬は一歩後ろへ下がる。天理がディアナに切り替わることは想定内だったが、肝心の言葉の内容は想定外だった。
「どういうことだ」
「その鳥羽瑠乃さんですが……いま、天理の部屋に来ています」
「……っ!だったらなおさら情報を渡せ!」
桂馬はディアナに詰め寄るが、いい顔はされない。
「桂木さんは彼女の心のスキマとやらを、広めたくないのですよね」
「どういう意味だ……?」
桂馬は顎に手を当てて考えを広げる。「桂馬という人間そのものがスキマの要因になっている」、ディアナはそう言いたいに違いない。
だとすれば……接触するほかに解決方法はないだろう。
「ディアナ、大丈夫だよ……桂馬くんを信じよう?」
ディアナから切り替わった天理は、ちょっと顔をうつむかせて桂馬の方を覗くように見た。そして、声をひそめて淡々と言う。
「えっと、鳥羽さんは……男性恐怖症、なんだよ」
…………!
男性恐怖症。桂馬は目を見開いて、思考の海から欠片を引きずりあげる。先ほど組み立てた予想の中に入り込むその「属性」は、桂馬の頭のピースにかっちりとはまった。予想は外れていなかった。そして、エルシィに用意させた羽衣も。
好都合だ。
「分かった。天理たちは外で待ってろ……二人で話がしたい」
「う、うん」
「待ってください、桂木さん! 話を聞いてましたか!」
おとなしく頷いた天理に代わって、ディアナが再び現れた。桂馬に向かって怒号を飛ばすが、彼の耳には届かない。
以前、天理の引越しを手伝った際に、天理の部屋へは入ったことがあった。玄関を抜けて階段をのぼり、二階にある部屋に向かう。
天理の部屋だ。
早足で歩いた桂馬は、躊躇もノックもせずにドアを開ける。
「あ、天理、このお菓子って……」
中に入ったとたん、甘い匂いが桂馬の体を包み込んだ。クッキーやチョコ、オレンジジュースにアイス……糖分、糖分、糖分。桂馬は頭をくらりとさせる。が。
その桂馬に気づいた鳥羽瑠乃は。
一瞬で顔を青くした。
男性恐怖症……その言葉を聞いたとき、桂馬の頭の中には清清しいような納得感が満ちていた。昨晩に瑠乃とぶつかったときの瑠乃の表情は、驚きでも嫌悪でもなかったからだ。恐怖……昨晩に桂馬を見たときの反応は、まさしくそれだった。
「えっ……あなた……だれ……?」
瑠乃は声を震わせながらそう言った。まるでこれから桂馬に殺されるのでは、と勘違いしているかのように顔色も真っ青である。
警戒心……まずはこいつを取り除かないかぎり、攻略は始まらない。好きという感情でも嫌いという感情でも、大切なのは興味心だ。
むしろそこまで行ければ、一気にエンディングへは近づける。
だからこそこの一言は、見誤れない。桂馬は最善と思しきセリフを引き出し、言った。
「昨日のこと、謝りたいと思って」
「……き、のう?」
「ぶつかっちゃったから。ごめん」
言って、桂馬は頭を下げた。瑠乃は驚いた表情を見せたが、眉をひそめてちらちらと桂馬を見た結果……同じように頭を下げた。
「こ、こちらこそ……すいません」
ここまでは桂馬の予測通りだ。いくら男性恐怖症といえども、誠意を持って謝罪している人間をおざなりにはできない。
(そして、これだけじゃ終わらせない)
「あ、ジュースこぼれてるよ」
そう言って、桂馬はさっき瑠乃が慌てて落としたコップを指差した。中身はそれほど入っていなかったが、カーペットの上に少しこぼれてしまっている。
「ほ、ほんとだ。拭かないと……」
「いいよ、ボクがやる」
机の上にあった布巾を手にとって、座っていた瑠乃を立たせる。そして床を拭くように見せかけて……
透明になっている羽衣を、瑠乃が踏み出す足先に設置した。
ヌルヌルの羽衣を。
(……転べっ!)
桂馬がそう願った直後、瑠乃は黒いストッキングを穿いた足でそれを踏んだ。油揚げのようになっているそれを踏んだ瑠乃は、つるっ、と滑って……うつ伏せになるように、しゃがみこんでいた桂馬の上に倒れこむ。
あくまでも、「瑠乃から桂馬に」。
「きゃっ!」
「うわぁ――」
桂馬はわざとらしそうに声をあげ、倒れこむ隙を突いて瑠乃の胸へと手を伸ばした。転倒したときのアクシデントを装ってはいるが、完全に、頭の先から足の先まで故意である。
むにっ、と桂馬はそれを掴んだ。ブカブカなゴスロリ服に隠れてはいたが、意外と大きい。が、そんなことはどうでもよかった。
桂馬の頭の中には、すでにプランが企ててあったのである。
(壁を作ってくる相手の壁を壊す方法……それにはまず、ボクがこいつにとっての唯一無二の人間となる必要がある。それには、これしかない)
桂馬はまさぐりつつ思考する。
(これで、鳥羽瑠乃は「怒る」。こいつの中の男への思いの普遍的な感情は、恐れだ。それを怒りにチェンジする!)
桂馬は撫でまわしながら思考する。
(学校が違っても、一度怒らせれば出会う理由が発現する! そうなればこっちのもの……今の時点での好感度など、恐れるに足りない!)
桂馬は……
「!」
……おかしい。
怒らない。
かれこれ三十秒ほど倒れかかった姿勢のままでいるが、瑠乃は一向に怒る気配を見せなかった。それどころか、ぴくりとも動かない。顔を伏せたままただ黙っている。
(まずい! 根っこを引っこ抜くつもりでいたがーーー掘り進めたか!)
桂馬は焦って周りを見渡す。本来ならここは瑠乃の反応を待つところなのだが、このままではただ自分が変態行為をしただけで終わってしまう。何か状況を打破できるものは……!
そのとき。
瑠乃の後ろに置いてあったバッグが目に付いた。先ほど瑠乃が転んだときの衝撃でそれは倒れていて、中に入っていたものが少し飛び出ている。それを見て、桂馬はおもわずこうつぶやいた。
「よっきゅん……?」
「……!」
バッグから飛び出ていたのは、黒と白で派手に装飾が施されたPFPと、桂馬にとってのトゥルーヒロイン……杉本四葉が出ているゲームのパッケージだった。桂馬のつぶやきに瑠乃が小さく反応したのを、桂馬は見逃さない。
胸から手を離した桂馬は、眼前でうつむいている瑠乃を見つめた。
(こいつ……)
そして。
瑠乃もゆっくりと、桂馬のほうへ顔を上げる。
2
(こいつ、ゲーマーだったのか)
あの後、二人は何事もなかったかのように重なっていた体をどかした。念のため瑠乃の顔をうかがったが、青くなっていないかわりに、赤くもなっていなかった。そして、怒ってもいなさそうだった。
結果だけ見れば、さっきのイベントは失敗している。しかし桂馬は省みることはない。それどころか、想定外の鍵を拾うことができたと微笑んでさえいる。
瑠乃が何をしているかといえば、デコレーションされたPFPでゲームをやっていた。しかも、ギャルゲーである。バッグに入っていたゲームは「よっきゅん」のものを含め、すべてギャルゲーだった。ガールズサイドというわけではなく、男向けの。桂馬は壁によりかかり、後ろからそれを見つめている。
「あなた……よっきゅん、知ってるんだ」
するといきなり、瑠乃から声をかけられた。いとも簡単に。これならわざわざ胸を揉む必要はなかったな……と思いながら、桂馬は返答する。
「知ってる。あんなに素晴らしいヒロインを知らないなんて、もはや罪だ」
「そう、だよね」
瑠乃の声は強張ってはいたが、さっきまでよりは格段に明るい声になっている。きっかけは掴めた。瑠乃にとっての唯一無二の存在に成り上がることも難しくはない……というより、もう成りかけているといっても過言ではないのではないか。桂馬は探りを入れる。
「でも二百本しか売れてないからな。実際によっきゅんの良さを知ってる人と会ったのは、初めてだよ」
これは事実である。以前に天才ギャルゲーマーを育成したときに薦めまくったことはあったが、既知のゲーマーには初めて会った。瑠乃も同じ状態であれば……。
桂馬が瑠乃の背中を見つめて答えを待っていると、少しして、瑠乃はボタンを繰る指を止めて言った。
「私は、二人目」
「……っ! ほ、本当か」
「本当だよ。画面越しだし、顔も知らないけど」
「男か」
桂馬は率直に聞いた。質問の意図など、後でいくらでも工面できる。冷や汗をにじませながらぶつけた桂馬の問いに、瑠乃はさっきよりも余計に声を明るくして答える。
「……そうよ」
「!」
……やられた。
掴んだと思っていたものが、掌から抜けていく感覚を覚える。男を拒み続ける瑠乃の心の中に、一つだけ開いているスペース。桂馬が入ろうとしていたそこには、既に別の人間が居座っている……くそ、と桂馬は奥歯をかみ締める。さっきの転倒イベントで瑠乃の「固さ」を知っていた桂馬としては、そこへ入り込めないことはかなりの痛手だった。
三つ目のルートを模索し始めた桂馬の目の前に、瑠乃はPFPの画面を持ってくる。
「……この人」
「なに?」
いったいどこのどいつだ、と思って怪訝な表情でその画面を見つめた桂馬の瞳に映ったのは、ホームページのトップページだった。白しかないシンプルなページの真ん中には、地味なフォントでこう書いてある。
「落とし神」。

桂馬は思わず絶句した。そして、途切れた言葉のぶんも追加した速度で頭の中をこねくりまわす。
「知ってる? 落とし神さま」
瑠乃は緊張しながらも、薄く微笑んで桂馬を見つめた。
あまりにもうまく行きすぎな展開に、思わず桂馬の中には笑いがこみ上げてきた。なんとかそれを抑えて、さてどうするかと考える。
今ここで、自分が本物の落とし神だと瑠乃に教える方法はいくらでもある。そうすれば真の唯一無二、オンリーワン。スペースを占拠することが可能だ。ツイている。これはもしかしたら、かつてないほど簡単に攻略が進むんじゃないかーーーと思って、
瑠乃の目を見た、その瞬間。
「…………」
「え、……知らない?」
「知ってるよ、落とし神。すごい人だよね」
桂馬がこう言うと、瑠乃の表情がより解けていく。
「そう、だよね。現実でそう言ってくれる人、あなたが初めてだよ」
「ああ、あの人はすごい。尊敬する」
桂馬は瑠乃に嘘をついた。自分の正体を明かそうとはせず、あくまでも普通の一ゲーマーとして……瑠乃の隣に立つことを決めた。
もちろん、意味はある。確かに落とし神として、瑠乃の神になることも可能だったかもしれない。ただ、それでは駄目だと―――その神の頭が、魂が、体が、血液が、訴えかけてくる。
瑠乃の目を見た瞬間、それを察したのだ。
「お前はなんでゲームをやってる?」
「なんで、って。楽しいから。綺麗だから」
「なにが」
「世界が」
「落とし神さまが、いつも言ってる」
桂馬は下唇を噛んだ。
前言撤回。こいつは、面倒くさい。
「現実なんて、クソゲーだよ。って」
桂馬はその言葉を聞きながら目を細め、散らばったパズルのピースを組み立て始める。このままではいけない。
まずは何をするべきか……。
帰ってきてくれたね。
今週の神のみぞ知るセカイは135話「Mission in complete」でした。
みなさん、地震は大丈夫だったでしょうか?
このブログ、最後に更新したのが先週の水曜日なんですよね。今日がその次の週の木曜日ですから、一週間以上更新が滞るという状態になってしまったわけですが……まだのぞきに来てくださる方がいらっしゃったとは。みなさんも無事ならなによりです。
前回、ついに月夜のもとへとたどり着いた桂馬くん。いい感じの雰囲気で終わった……の、ですが、今回はいきなり怒られます。もちろん、月夜に。
とは言っても、月夜が作り出した壁は今にも崩れだしそうなんですが。
月夜にとって、今の桂馬くんというのはまさしく「二股クズ男」です。いや三股か!ともあれ、そんな状態の桂馬くんにも……やっぱり最初から最後まで、怒りきれていないように感じました。攻略時の月夜のスキマっていうのが、親どうしの醜い喧嘩から派生しているせいなのかどうかは分かりませんが、それにしても月夜の怒り方はかわいらしい。
まあこれは、どっちかというと怒るというより照れてるんですが。
ウルカヌスは反乱していましたが、エンディング自体はもうはなから見えていたのかもしれないですね。
ちなみに今回、桂馬くんはウルカヌスの攻撃によってズタボロになります。男気(と、へそ)丸出しの桂馬くんですが……やっぱりこれも意図の範疇なのかなーとは思いました。
図書館で襲撃を受けたとき、やたら桂馬くんは「自分はただの一般人」と思われたがっていましたけど。理由の裏づけとしては今週の流れが欲しかったのではないのでしょうか?
月夜を攻略したとき、桂馬くんは月夜に「お前を月には行かせない」と言いました。ひゃぁーかっこいいセリフ!……しかし、桂馬くんはそんなことを言っておきながら、月夜をほっておきっぱなしにしていました。正しくは「桂馬くんに放っておかれた」と月夜に思われていた、ですが。さらにその状態で二股をかけてる。おいおい。
だとすれば、いったい月夜は桂馬くんに「何を言われたい」のか。ただ単に愛してる、とかお前が欲しい、とかじゃなくて、やっぱり信頼をし直してしまうようなセリフ……今の状態の月夜に効くのはそういうセリフのような気がしますねー。
そして今回、ウルカヌスの猛攻をしのいだ桂馬くんは月夜にこう言います。
「ボクは死んだって……月夜を守るよ……!!」
あくまでも推測ですが、桂馬くんもこういうセリフを狙っていたのかなぁとは思いました。月夜が桂馬くんのことを、また信頼できなくなっているのは明確ですしね。だって桂馬くんが月夜を騙すのも二回目ですよ!月夜もいい子ですね!
で、上記したセリフを言うとなると……やっぱりそれなりの状況が必要になってくる。このセリフに合わせるとなると、桂馬くんが死にそうになることが必要。そう考えると、ウルカヌスとボカスカやっていたのはかなり効果的だったのでは。女神側の関係者と言えばもっとすんなり月夜とコンタクトを取ることはできるでしょうが、説得力がないですもんね……。そこまで狙っていたかどうかは分かりませんけど!
やっぱり月夜の再攻略においても、最初の月夜攻略の際と似た展開になりましたね。月夜攻略のときの鍵といえば、やっぱり三話目の最後ですよ……お風呂を出たら体がより小さくなっていて、思わず桂馬くんに助けを求めるシーン。
結局あのときはルナよりも桂馬くんを選んで、助けを求めました。そして今回も、月夜はウルカヌスの忠告を無視して桂馬くんと触れ合った。キスをした。
とは言っても、たぶん月夜は最初から選んでいたんですよ、桂馬くんを。だから怒りきれていなかったし、日曜日の天文部室のドアを開けておいた。
「月夜…ボクを、好きでいてくれ…」
ウルカヌスは信頼できない、調子のいいことを言うなと言ってはいましたが。月夜は最初から最後までずっと好きだったのかもしれないですね、桂馬くんのことを。
今週のフォイーレ!
正しくは「フィオーレ」ですが、今回も(悪い方向で)活躍してますね。やっぱりフィオーレは好きだなぁ……萌えとは違った感情ではありますが、フィオーレにはもっと活躍してほしい!と思います。なんだろうなぁ……好きなキャラというか、楽しみなキャラですね!
ビリビリchop!
遅れましたが、今回は3月3日に発売になった中川かのん1stアルバム「Birth」のレビューを書こうかな、と。
中川かのんはアニメ「神のみぞ知るセカイ」に登場したヒロインの一人で、作中では大人気アイドルという設定です。そして今回、その設定にのっとってアルバムが発売されました。わーおめでとう!
しかし、こうなることを誰が予想していただろうか……。
自分は女子がわんさかと出てくる神のみの中でも、かのんに関してはかなり好きなほうのキャラです。まー理由としては色々とあったりするわけですが……そこは省略するとはして、神のみのアニメ化が決まり、自分の中にも「おお、かのんもアニメになって動くんだ」という認識はありました。
かのんはアイドル、ということで作中で何曲も歌を歌います。個人的な予想でも、幾つか歌を歌うのかなー?みたいな軽い感じでしか考えてはいましたが、まさか単体でアルバムまで出すことになろうとは!
この「Birth」、確かに「中川かのん1stアルバム」ではあるんですが……それ以上に、神のみぞ知るセカイの音楽的なエネルギーをすべて集約した作品になっていると思います。それが今回はかのんというキャラを通してアイドル調になっているだけであって、単なる一つの企画としてではなくなっている気がします。
そのくらい、このアルバムは素晴らしかったです。
肝心の楽曲についてですが、「どれもこれもいい曲ばかり」……なんていうありきたりで大雑把な表現でまとめてしまうことがもったいなく感じるほど、完成度が高いです。この記事でも、いいなーと思った曲を三つくらい紹介しようかとも思ったのですが。選べない!くっそーその方が簡単に中身のある記事がかけるのになー……(笑)。
正直言うと、自分はあんまり「キャラクターソング」っていうものにいい顔はしないタイプの人間なんですよ。
キャラたちが歌っているOPEDはともかく、キャラクター商品として出される「キャラソン」ってほら……そんなにクオリティとか……気にしてなかったりするじゃないですか!劇中歌として使われるようなものは気合入ってますけど、声優萌えの延長線上にあるキャラソンって……微妙だったりするんですよ。もちろん全部が全部そうなわけはありませんけど!とらドラのキャラソンアルバムはよかったなー。
で、神のみにおいてもそういうキャラソンはリリースされてます。きちんと各キャラごとに。聴いていただいた方は「そんなの全部知ってるよー!」状態かと思うんですが、神のみのキャラソンは非常にレベル高いです!贔屓目なしに!神のみのコンプリートアルバムに収録されてても、ウォークマンに転送するときに排除されないレベル!(←ありがち)
エルシィ、歩美、美生、かのん、栞、空と各ヒロインごとに新曲+コイノシルシアレンジバージョン+インストゥルメンタルという構成で発売されていたんですが、この中でもすでにかのんの「ハッピークレセント」が一番好きでしたね!アニメの7話見ましたか?あれを見たあとではもう、ハッピークレセント聴くと自然と心がうるうるしてくるようになりましたもん。どうしてくれる。
「Birth」にも収録されていますが、アニメ7話においてかのんはハピクレ以外にももう一曲歌っています。それが「らぶこーる」です。
らぶこーるについては言いたいこともいっぱいあるんですが、ここは黙って聴いていただくのが一番かなと。あーでも、ハンカチは用意しておいたほうがいいかもですね。
アニメのかのん編って、巷ではけっこう「長い」「販促か」って言われてたりしてたんですよ。薄目で見てたから違ったらごめん!でもそんなような評価だったような気がする。
長くて販促することが果たして悪いことなのかどうかは置いておいて、自分もそんな気持ちが片隅にあったりもしました。あれ、3話やるの?へー、って。
思ってましたよ。7話を見るまでは。
7話の最後、かのんは攻略が終わったあとにステージで上記した二曲を歌います。たっぷりと。その流れを聴きながら、歌うかのんを見ながら思ったんですよ。
3話構成は絶対に間違ってないな、と。
かのん編は2話でも終わらせられる内容でしたよ。でもアニメでは3話を使ってやった。何のためにと言われれば、おそらくそれは「かのんの歌を流すため」ですよ。販促とかいうリアルなお話は後にして、かのんに歌を歌わせたかった……のかなぁ、と。よく考えてみれば歌ってるときのかのんが一番輝いてるんだから、そこを尺を使って流すのは当たり前のことなんですが。ひん曲がった考えが生まれてきてしまっていて恥ずかしい!
「Birth」は、スタッフのそういう思いが集結したアルバムになっていると思います。だから一曲一曲のエネルギーが半端じゃない。半端じゃないうえ、それだけで終わっていない……ラジオCDなんかも含めると、完璧な一つの世界が完成しますよ。だからこそこれは「神のみキャラソンアルバム中川かのんバージョン」ではなく、「中川かのん1stアルバム」として成立しているんだと思います。中身も付録も、すべてがその空間の中に存在してる。ブレない。個人的にはそういうところも大好きですねーこのアルバム!
えと……曲についてですが。
中学三年のときに音楽の成績が2、という人生の汚点を分かりやすく残している自分では「ここからここに繋がる流れがいい!」とか「このリズムがどうのこうの」とか「奈央さんの声と曲があーだこーだ」とか、言えません!そんなもんはしらん!なんでこの曲が好きなのー?と聞かれても「えっ……な、なんかこう、心にグッとくるから……」みたいな返答しかできませんわ。そもそも音符読めないしー!
そんな自分が一番心にグッときた新曲は「ダーリンベイビ」です。
アルバムの曲順が発表される前、てっきり自分は「らぶこーる」が最後だと思ったんですよ。あれで最後を締めくくれたらすばらしいじゃないですか!若木先生がかのんの連載時に仮想していたアルバムの曲順もらぶこーるが最後だったし、そうなんだろうなーと思っていたら。
らぶこーるは最後じゃなくて、10曲中の8曲目だったんですよ。個人的にはらぶこーるのあとに来る「ダーリンベイビ」と「Birth」は、絶対にらぶこーる以上の出来であって欲しい!と思ってましたね、曲順発表からはずっと。フタを開けてみると最後の「Birth」、ならびに先頭の「Date of Birth」はインストゥルメンタルのオープニング・エンディング曲だったので、実質はらぶこーるVSダーリンベイビ、みたいな感じで考えてました。
らぶこーるを超えられるのか。
より素晴らしくアルバムを締めくくることはできるのか。
生半可な曲じゃ許さねーぞ!おらぁ!
結局。
いま、ダーリンベイビを一曲リピートして聴いているわけですが。
ダーリンベイビ、すごく好きです。神のみⅡのEDがこれであってほしい!とか思ってしまうレベル!「Birth」において「想いはRain Rain」も人気の高い新曲となりましたが、これはどちらかというとらぶこーるに近い、奈央さんのしっとりとした歌声が染み渡るような曲になっています。奈央さんってもしかしてRain Rainみたいな緩やかな曲のほうが似合ってるんじゃね?とさえ感じさせるクオリティ。引き込まれる感じがすごい!
一方、このダーリンベイビは、ハッピークレセントに似たハイテンションなアイラブユー!ソングになっています。個人的にはこういう明るくてバンバン盛り上がるような曲が好みですね。やっぱり中川かのんはアイドルですから、心を撃ち抜くパワーがすさまじい!一回聴いただけで完全にハマってしまいましたっ。アニソンっぽいしね!何より、一番心にグッときた(これしか言えない)!
あとオススメしたいの「YES-TODAY」かなと。
YES-TODAYもそうですが、「LOVE KANON」「ALL 4 YOU」といったアルバムの序盤を占めるこの曲たちもいいですよ!何がいいって、他の曲よりも一番アイドルっぽい。「ドキドキ胸がイエストゥデイ!」とか「ラブカノンでバンバン!」とかの、カラオケで歌えねーよ!という歌詞も素晴らしいですし、ノリもいい。YES-TODAYはCM、LOVE KANONも本編で数回流れただけなのに、頭の中をフレーズがグルグル回ってますもん!そういう曲を作れるのもすごいですが、奈央さんの歌い方もいいですよね!「むねむねどきがいえすとぅでーい!」
「ALL 4 YOU」なんかはアニメ放送時も思いましたが、ザ・アイドルソングを見事に沿った出来上がりになってます。今のJ-POPには絶対参戦しないような曲が、かのんという理想のアイドル像をフィルターとして作り出されてますね。新曲の「ウラハラブ」はそれがさらに色濃くなっていました。心の奥底から話しかけられるような……なるほど、アイドルはアーティストじゃなくてパフォーマーなんだな……みたいな。80年代アイドルを模したこの二曲があるおかげで「Birth」の世界観がより強固になってると感じました。
というわけで全体的にレベルの高いアルバムとなっている「Birth」ですが、一番いい曲……と言われれば、個人的には「ダーリンベイビ」を推したいなと!推したいですが!やっぱり一番いいのは「ハッピークレセント」かなぁ。楽曲的にというより、全体的に。
ハッピークレセントは、アニメ7話もあって非常に思い入れが強い曲となってます。ハッピークレセントという曲が、中川かのんという存在に近い……というか、かのんを映す鏡として存在してる気が。さっきも言いましたが、たんなる「キャラクターソング」ではなく「中川かのんというアイドルの歌」になっているかなーと。
そしてそれは意味のあることであって、多くの人たちが関わってきた「中川かのんプロジェクト」の先頭に立つべき曲だと思うんですよ。作ってるほうからしてみると違うかもしれませんが、少なくとも自分はそう思いました。発売記念の生放送でも言われていましたが、かのんというキャラを濃く描けば描くほど、それは面倒くさくなっていく。歌も作らなくちゃいけないし、作画だって動かしまくりだから大変。だとしてもだからこそ、かのん編はスタッフ陣のやる気みたいのがすごく投入されていた気がしますね。
ハッピークレセントは、そんなかのん編の最後を飾った曲ですから……やっぱり色んな人に聴いてほしい。気に入って欲しい。そう思います。
「Birth」は、そんなスタッフのやる気の全てが詰まっています!もちろん奈央さんや若木先生のも!
やる気とか愛とかそういうのが、ぜんぶ。
「Birth」というアルバムは、神のみぞ知るセカイという作品の音楽面、その究極体のひとつなのかもしれないですね。そう思わせるほどのエネルギーがあります!聴いていただいた方にはきっと、それが満遍なく降り注がれていると思います……えっまだ聴いてない!?
聴いてください、全力でお勧めします。
スタァ誕生の瞬間を見逃すな!
先日ブログに更新しました、ルキノさんとの合同小説についての続報です。
ルキノさん渾身のプロローグである第一話にも登場したオリジナルヒロインの「瑠乃」、実はキャラクターデザインまで行われていたんですねー!本当は一話に間に合わせたかったのですが、まあいろいろありまして今の公開に……ごほごほ。
こちらです。

バストアップの画像なので分かりにくいですが、「黒髪ツインテールゴスロリ」です。えっゴスロリ?と思ってもそうなんです。描いた本人がそう思ってるんだからゴスロリに決まってます。そうなんですよー!
一話の時点ではまだ公開されてませんが、彼女……瑠乃にもまだまだ秘密があるんですね。派手にしたいからゴスロリってわけじゃないんだよ!たぶん!
ただ、絵的な豪華さも求めて色々ひっつけました。ツインテールとかね。巷(?)では某麻美ちゃんにそっくりだと言われていますが、それもひとえに製作者の画力のなさが原因です。似せようと思ったわけじゃないんだよ!?ただ似ちゃったというか……似たようなのしか描けないというか……ごにょごにょ。
瑠乃は自分とルキノさんで色々話し合って決めたキャラなので、けっこう思い入れが強かったりもします。といっても作り上げられているのはほとんど外堀で、内側についてはこれからどんどん掘り下げていく予定でいるんですが……掘り下げがいのあるキャラになりそうですねー。自分の執筆力で掘り下げられるかどうかは別として!
合同小説・各回ごとに筆者の変更・アンケートを用いた分岐と、自分が今まで経験したことないくらいアクティブなこの企画。大変そうではありますがうまく成功させたいなーと思ってます。ですから!まだ第一話を読んでない人は読んでみてください!そしてよろしければ分岐アンケートにもご協力をね、お願いしたいものですよ!
3/4 FLAG.01「遭遇~攻略1日目」
自分が書いた文章じゃないと、バンバン宣伝できていいね!
……あと、全体的なイメージはこんな感じ。
7パターンくらいから選ばれてたりもするよ!
ツイッターではお知らせしましたが、ルキノさんとの神のみぞ知るセカイ合同小説の第一話です!
……と言っても、第一話はルキノさんのターン、ということで、中身に関しては自分は関わっていなかったりするんですが(笑)。ルキノさんとこれから作り上げていく作品の「導入部分」となるストーリーですので、ぜひ気軽に目を通してみてください!
最後の選択肢で物語が分岐するゲーム方式となっておりますっ。ポチッと押してくださると嬉しいです!
それではどうぞ!
1
「それがお前の、『できること』なんだよ」
夜道の先を歩く桂馬が意味ありげにそう言う。エルシィはそのいつもと違う声のトーンに何かを感じたのか、ゆっくりと立ち止まった。
それでも桂馬は歩き、こう呟くように言った。
「それができないヤツだって……いるんだよ」
「……さん、どうもありがとう」
「ううん……別に。じゃあ、これで」
しばらく歩いてきて、二人がお隣の鮎川家の前に来ると玄関の方からそんな声が聞こえてきた。どうやら誰かが来ていたみたいで、ちょうど来客が帰るところのようだ。
しかし、天理の家に誰が来ようと桂馬には関係あることではない。我関せずといった調子でPFPに視線を落とすと、彼はそのまま歩を進めた。
「あ、にーさまっ、危ないですっ!」
ドーーンッッッ!!
エルシィの忠告も一足遅く、桂馬は何かとぶつかって倒れてしまった。
「け、桂馬くんっ、大丈夫っ!? 鳥羽さんもっ」
来訪者の帰りを見届けようとしていた天理も慌てて駆け寄ってくる。
「何だよ。もう、どこ見て歩いてるんだ」
桂馬は立ち上がると、何にぶつかったのかとそちらを見る。と、そこにはいたのは黒髪で端正な顔立ちのゴシックロリータを身にまとった少女……。それはさすがに彼の予想外だったのか、彼も一瞬言葉を失った。そして、更にそこに追い討ちをかけるような音が……。
ドロドロドロ、ドロドロドロ。
その音にエルシィがはっとなって、駆け魂センサーを押さえる。
「痛たた……」
一方の少女はそう言うと、ぶつかった桂馬を見た。そして、何かに気づいたのか怯えたような表情を見せ、さっと起きあがった。
「あのー、大丈夫ですか?」
「あ、え、えぇ……。じゃ、じゃあ……ここ、これで」
少女はエルシィの言葉にそう言うと、慌ててその場を去っていった。しばらくすると、桂馬が溜め息を吐いた。
「エルシィさん、彼女に古悪魔が……?」
その語調から察するに、どうやらディアナに入れ替わったようだ。
「は、はい……。そうみたいです……」
「天理ー。どうかしたー?」
すると、家の中から天理のお母さんの言葉が聞こえてきた。どうやら、戻ってこない天理を心配しているだ。
「お母様が呼んでますね。……それでは、桂木さん。失礼します」
2
その日の深夜。桂馬は自室でいつものようにギャルゲーに勤しんでいた。彼には攻略しなければならないゲームが山のように存在するのだ。しかしながら、今日はその進みが僅かに遅い……。
「彼女のことが気になりますか? 桂木さん」
「ディアナか……」
桂馬は振り返らずに言う。一方、カーテンが揺らぐ中で桂馬の部屋に姿を見せたのはディアナ。彼女がこうして接触をしてきたのは、女神について話した時以来だ。
「ボクが気になるわけないだろ、バカバカしい」
「彼女は天理の友人の一人です。私も少なからず、知っています。だからこそ私は思うのです。彼女は桂木さんに近い存在ではないか、と」
そのディアナの言葉に桂馬の手がピタッと止まる。ディアナもそれを見て僅かに驚きの表情を見せるが、言葉を続ける。
「彼女の名前は、鳥羽瑠乃。天理と同じクラスの子です」
「ゴスロリを着てるのはなぜだ?」
「そこは私も分かりません。ですが、最初も彼女は趣味程度だったように思えます。家もここから近いですから天理と彼女は学校以外でよく会うのですが、出会った頃は稀に着ていることがあったくらいでした」
「なるほどな……。最近は学校以外では常にあの服装なのか?」
桂馬の疑問にディアナは同意する。
「えぇ。夏休み明けたくらいからだったと思います」
「そうか」
そこで部屋は一度沈黙に包まれた。部屋の中に響くのは、数々のゲーム機が起動していることを示す音ばかり。桂馬は一度指で唇をなぞると、再びゲームの方へと向いた。
「桂木さんは彼女も攻略するのですか……?」
「そういうことになるだろうな」
「そうですか……」
その後、室内にディアナの言葉は聞こえなくなった。どうやら自宅へと戻ったらしい。すると、桂馬は一度深い溜め息を吐いた。
「さて、明日の放課後どうするかな……」

ゆーめーへーのーきょーはーんーしゃー♪
エイラは1期の6話を見る前から好きでしたよ!
今週の神のみぞ知るセカイは134話「Strike Witches」、今までやられっぱなしだったあの二人が、ついに一泡ふかすお話……でしたよね?
前回、激昂した月夜とウルカヌスの攻撃を何とかしのいで、ついに月夜との直談判へとこぎつけた桂馬くん。今週も引き続き、ウルカヌスはぷんすかと怒ります。

先週の感想でも言いましたが、それにしてもウルカヌスのデザインはいいですねー!カラーチェンジする月夜も宙を舞うルナも、絵的にすごい映えます!
あとはルナですね……怨念丸出しで怒り、万力攻撃までする気でいるルナですが、喋れば喋るほどかわいく見えてくる。月夜攻略のときのあの妙な存在感あるルナが懐かしいくらいですよ!それくらい、ウルカヌスが憑依することによってキャラが立ってます。
ウルカヌスの追求にも、しらをきり続ける桂馬くん。ウルカヌスは「そんな舌引っこ抜いてやろうか!」ってくらい怒っていますが、肝心の月夜は……前回同様、やっぱりまだ怒りきれていない感じですね。
桂馬くんの中でも狙いは月夜で絞られていたようで。月夜がちょっとウルカヌスとの意識を分離したとたん、月夜のもとへと走り出して、

抱きつきます。
「仕方ない。ボクらが出会ったのは……運命なんだから…」
あーこれは月夜も落ちるね!確かに仕方ないわー!

一方のウルカヌスは、そんなラブコメ展開中の二人を見て嫉妬の炎を燃やします。ボボボーっと。
今までさんざイスで攻撃してきたウルカヌスでしたが、対象の近くに月夜がいるとなれば話は別。もうこうやってポコポコ殴るしかありませんね!桂馬くんもかしこいぜ!
ウルカヌスは長距離戦専用ユニット、と……メモメモ。
桂馬くんはどうにかしてピンチを抜け出した模様ですが、一方、ハクアは。
フィオーレをヴィンテージとして勾留しているハクアと、ノーラはついに協定を結びました。とはいっても、「こっちはお前を邪魔しないから、そっちも私を邪魔しないでね」という……どこまでもノーラらしい理屈ですね!でも、そういうところが好きだよノーラさん!

ノーラが退却し、二人きりになるハクアとフィオーレ。桂馬くんがいなくなったいま、ハクア自身もフィオーレの勾留には後ろめたさを感じているようで……。
そのスキを突こうとしたのか、フィオーレはいきなりキャストオフします。

「好きなだけ調べて、証拠を探して……!」
そう言われたハクアは、つい勾留ビンのフタを開けちゃうんですねー。
結局、スキを作ったハクアはフィオーレに襲撃されます。なんとか隠してはきていましたが、フィオーレもやっぱりハクアに対する劣等感があるようで……ついフィオーレの裸に目が行きがちですが、この展開もけっこう重たいものがありますよねっ。
ナンバーワンよりオンリーワン、なんてよく言いますが、人間誰しもナンバーワンを目指したいものですよ。そもそもオンリーワンって、裏を返せばナンバーワンなわけで。何かをするからには、やっぱり結果と実績を残したい……そう思うのは当たり前なことですよ。
ただ、フィオーレの思いっていうのはちょっと別のベクトルにある気がしますね。プラスに向いているはずの「一番になりたい」という思いが、いつの間にかマイナスの方向へ進んでいる。よくあることですよ!よくあること、ですが……。
自分の地区で面倒を起こすな、ということで、暴れだしたフィオーレはノーラがなんとか締め付けます。ノーラの能力で心の中を覗き込もうとするんですが……映し出されたのは真っ黒な画面だけ。ノーラが怪訝そうに見ていますからきっと、珍しい現象なんでしょうけど、これは不安ですね。フィオーレはいま何を見て、何のために動いているのか。信念や意地ならまだしも、そこから脱線した感情となってしまえば……やっぱり、神による鉄槌が必要になるかもしれないですね。
桂馬くんも月夜攻略で忙しく、ハクアもノーラも身動きが取れない状態!こんなときこそディアナの出番だ!さあ行けディアナ―――ってあれ?来週は休載?みなさん、ディアナが登場する(であろう)次回まで、正座して静かに待ちましょう!
で、今週は巻頭カラーでアニメ情報も公開されています。

川村敏江さんによる超美麗ニューキービジュアルとともに、今回は放送日時とキャストの情報が明らかになっていますね。放送日時はこちら。
テレビ東京 4月11日(月)深夜1:30~
テレビ大阪 4月15日(金)深夜1:53~
テレビ愛知 4月11日(月)深夜2:00~
テレビせとうち 4月13日(水)深夜1:50~
テレビ北海道 4月13日(水)深夜2:20~
TVQ九州放送 4月12日(火)深夜1:53~
1期の頃と比べると、テレビ東京では20分ほど放送時間が繰り上がっていますねー。感想書くほうとすると、月曜深夜っていうのが嬉しくて嬉しくて!サンデー発売日にアニメ流すとか、どんだけ一片に感想書かないとあかんねん!ってなってましたもん。ただでさえ冗長なのに!
そして、キャストについて。
毎度のごとく金曜日からバンバン情報が出回っていましたが、ここでとりあえず正式発表……ということで。こっちも箇条書き!
春日楠:小清水亜美
ハクア:早見沙織
小阪ちひろ:阿澄佳奈
長瀬純:豊崎愛生
リンク先はかな恵さんも御用達(?)のwikipediaです。それにしても、1期に引き続き豪華な面子ですね!EDがたーのしみだなー!
キャラの声優が発表されるたびに、どのアニメでもどんな声優でも、視聴者それぞれの「イメージ」というものとぶつかり合いが起きます。わーピッタリだ!とか、合わないだろこりゃ、とか。
アニメ神のみの1期を見てみて自分が思ったことですが……神のみキャストには心配いらないかな、と。2期組が発表される前も、そして発表されてからもそう思っています。
桂馬くん、エルシィ、歩美、美生、かのん、栞……そしてそのほかのキャラ。神のみ1期に出てきたキャラで、自分のイメージと合致しない声っていうのがなかったんですよ、本当に。悔しさを覚えるぐらい。神のみほど一つの作品を好きになって、しかもそれがアニメになる……なんてのは経験したことがないので分かりませんが、まあ、そういうふうにできてるのかなーとは思います。
声優って、既存のキャラの上にペンキで色を塗るわけじゃないと思うんですよ。どっちかというとフィルターというか、レンズというか。声がつくことによってもっと色濃くキャラが見えて、よりピントが合うようになる。1期はまさにそんな感じでした!2期組も声がつくことによって、より一層楠として、ハクアとして、ちひろとして、純として完成していくんじゃないでしょうか?
何はともあれ、楽しみです!
個人的には、長瀬先生の豊崎さんには期待したいと思ってますよ!
ちらほら「どーなの?」っていう声を聞きますが、自分はうまいキャスティングかと。イメージに合うかどうか、なんてことを放送前に考えるのは意味ナッシングなので、ここはやっぱり豊崎さんの声優力、もとい声優人気に期待したい!
正直に言いますが、長瀬先生はアニメ人気、それほど出ないような気がするんですよ。理由は簡単、攻略キャラの中で一番桂馬くんと「ラブコメしてない」からです。
1期のときに痛いほど実感した「深夜アニメ見てる人とのニーズの差」が、おそらく……ちひろ編に続いてこっちも顕著に表れると思います。
で、いつお風呂シーンくるの?
で、いつ倒れかかって胸に手が当たるの?
ってね!ぐぎぎ、噛み合ってないよおい!いやー仕方ないかもしれないけどさ!そこじゃないんだよ、見てほしいところは!
楠ハクアはともかく、長瀬先生はそういう声が出てきそうな気がします。隙間に押しつぶされて、周りが見えなくなって怒るキャラにいい顔されないのも実証済みだよ!……そうなったとき、豊崎さんっていうもはやブランドに近いパワーを持ってる声優さんから力をもらえたら、それってすごくいいことだと思うんです。長瀬先生がうまくいかなくて怒るのも、空気を読みきれてないところも、それって先生の「純粋さ」ゆえの個性だと感じているんですが……豊崎さんの声で、それが奥から引き出されるのに期待したいっすねー!深夜アニメとしては、視聴者に「引き出してもらう」ってのは難しいことですから……。
オブラート包みすぎてよく分からんことになってますが、そこは察してくれるとうれしいな!(おい)
今週のフィオちゃん!

内側は悪意と嫉妬で渦巻いてるフィオーレですが、この表情はかわいい!黒いところも含めてフィオーレは好きなキャラですね、かなり!
フィオーレ・ローデリア・ラビニエリですよ、忘れちゃいけません。寝る前、キャンパスノートに五回ずつ書いていくと覚えられるかもしれませんね。テストに出るよーここ!
いいから振ってみろって。
そろそろこのブログの中にも浸透しはじめた(?)このサンデー感想企画ですが、今回は三回目です。今週はサンデーといっても月間少年サンデーこと「ゲッサン」から、「FULL SWING」の感想を述べようかな、と。
ゲッサンは創刊して二年ほどのまだ若い雑誌ですが、中身はびっくりするほど濃いです。「漫画力絶対主義」をモットーに、ファンタジーからギャグ、ラブコメと粒ぞろいとなっています。それに比例して好きな作品も多く、Waltz、信長協奏曲、ハレルヤオーバードライブ!なんかは実際の評価も高いですね!
ただ、ゲッサンはそれだけでは終わらない。もっともっと面白い作品だって確実に存在しています!
その一つが、この「FULL SWING」です。
この作品のすごいところとして、まず、原作を担当する先生がかの有名な武論尊先生なんですね。北斗の拳、とか……日本中の誰もが知っている作品ですよ!
……と言っておいてあれなんですが、個人的には作画を担当しているマツセダイチ先生を特筆したいなぁと思っています。読んでいただくと分かりますが、マツセ先生……ものすごい画力の持ち主です。ところがどっこい、この先生、まだ新人さんなんですよね!初連載ですし、ゲッサンにも二回読みきりを掲載したところだったのですが、「FULL SWING」のイラスト担当として大抜擢されました。超期待の新人と超大御所のコラボレーション……見事に最高の化学反応を示しています!
話のストーリーとしては、毎話に別々の少年少女が登場し、それぞれの悩みと恋の行く末をオムニバス形式で描く……というものなんですが、どれもこれもがすごいいい話なんですよ!FULL SWINGを最初に読んだときは、暗い雰囲気にいきなりの暴力・薬物描写とどうなることかと思っていたんですが、今にして思うと変に嫌悪しなくてよかったなぁ……と強く感じますね。
で、そんなFULL SWINGの個人的に好きなストーリーがこの三つ!
まず第三位!
「SWING5.早川貴文」です。
恋愛にも人生においてもどこか冴えない青年・早川貴文は、ある日介護していたおばあさんの孫・杏子と一緒に一日デートをすることに。
初対面、しかも暴走族の杏子とわけも分からぬままにデートをさせられて最初は納得しきれていなかった貴文でしたが、杏子の意外な純粋さを目の当たりにして……杏子も貴文も、次第に心を惹かれあっていきます。
ところがある日、一緒にド派手なバイクに乗ってドライブしていると……いきなり男女三人に杏子が襲撃されます。以前、杏子に負けた腹いせとして……。
相手は暴走族、しかも武器まで持ってますよ。貴文はケンカなんてほとんどしたことがない草食系男子ですし、きっと今頃足がすくんでいる……そう思っていると。
貴文、立つんですねぇ。
いや、そりゃあ漫画としてはありがちな展開かもしれませんよ?でもそのありがちって、実際には簡単にできない難しいことです。曲がり角で食パンくわえた女の子にぶつかるより、よっぽどね。
結局二人がボコボコになったところを、二人の知り合いの伊原が間に割り込んでその場はなんとかなりました。貴文の元同級生の伊原は、実は杏子のいるチームの先輩だったんですね。個人的には、このあとに伊原から語られる貴文の昔話が心にグッときました!
誰もがやりたい、やらなきゃいけないと思うことを実際に行うっていうのは、ものすごくハードルの高いことですよ。正義なんてあってないようなものですし、何もしなければ害は起きない。自分もそういう「受身」な姿勢になりがちなんですが……この貴文、行くときは行く男なんですよ!体格だって痩せてない、髪型だってキメてないですけど、この話を読むと貴文がどこまでも格好良く見えてきます。貴文も杏子も不器用ではありますが、そこがまた一つのよさかなぁ、と。
終わり方も素晴らしいですよ!
続いて、第二位!
「SWING6.伊原祐二」です。
……え、伊原?と思いましたか?そうなんですよ、五話でサブキャラクターを勤めた伊原が、今度は六話でメインキャラとなるんですね。FULL SWINGは常にこういう形態で連載を進めているので、自然とそのキャラのビフォアーストーリー・アフターストーリーを垣間見ることができるんです!数ページの出番でしかないですが、再登場もFULL SWINGの楽しみの一つですね。
その伊原は、暴走族を辞めたあと上京して、「春堤」という和食店で働き始めます。先輩の厳しいしごきにも負けずに働く伊原ですが、ある日アパートの隣室に住んでいる美香と出会いました。
メイド喫茶で働いている美香には「アニメのキャラクターデザイナー」という夢があることを、伊原は彼女と親しくなっていく上で知ります。夜遅くまで絵を描き続ける美香に負けじと伊原も職場で奮闘し、少しずつ自分の立ち場所を作り出してきました。
ある日、家に帰って美香の兄と話をしていると、大家からひとつの情報を知らされます。
そして川原に行くと、そこには夢が叶わなかった美香の姿が。キャラクターデザインの絵をこっぴどく添削された美香は、泣きながら叫びます。
「必死で描いた絵なのに……
“こんなもん”ってなんだ!?バカヤロォ!!」
……自分が頑張って必死で作ったものが、誰かに評価されないことなんてよくあることですよ。「よくあること」。人からしてみればそうだとしても、本人からしてみたらそれは、自分の世界とこれまでを全部否定されることでしかないんですよね。自信とか期待も、全てが一緒くたにして破棄される。
「こんなもん」の一言で。
辛いことですよ。
落ち込む美香に、伊原は自分の手料理を作ります。
ただ、その味はどうやら微妙なようで……美香も美香の兄も首をかしげてしまう。
「伊原ァ!こんなもん食えるかぁ!」
同じ料理を仕事場で賄いとして出すと、先輩たちからは当然のようにこう言われました。それを見て、職場の親方はこう言うんですね。
「お前ら二人が最初につくった物も“こんなもん”だ!」
「誰でもはじめはこんなもんなんだ…
でも“こんなもん”で辞めちゃったら、次はないんだ…」
伊原のこのセリフ、すごい好きです。このセリフがあったからこその第二位ですよ!色んなところにあふれる他の才能とか、自分との差を見せつけられると不安になることもありますが……そんなときこそこの言葉を反芻したいですよね。
伊原くんいいこと言うぜ!
あとは、伊原と美香の初々しい関係も見てて楽しいですね!お隣同士で、顔を見せないながらも料理をおすそわけするとか……羨ましいシチュエーションだなぁおい!FULL SWINGの中で繰り広げられる淡い恋模様も、見逃せないポイントの一つですよっ。
そして、第一位!
「SWING1.藤江俊一」です。第一話ですね!
第一話……やっぱり、これでしょう。最初のストーリーであり、これから先に繋がっていく「スイング」の始まりです。
ネタバレしたくないのでストーリーを細かく触れたりはしませんが、この話はねぇ……正直なこと言うと、泣きました!自分はそんなに物語に感情移入して泣くほうではないんですが、それでもやられましたね。
先述しましたが、最初にFULL SWINGを読んだとき(つまり、この回を初めて読んだとき)はどんな漫画になっているんだろう、と思っていたんですよ。原作が北斗の拳の武論尊先生で、初っ端から題材は社会の闇でしたから。いわゆる「バイオレンス」ってやつなのかなーと思いながら読み進めていました。
最後まで読んでみると分かりますが、FULL SWINGはバイオレンスなんかではありません。真っ白で透明な純愛ストーリーなんですよ、一話は特に。
そのギャップに、つい涙腺が緩みました。
薬、酒、女と不健全なことばかりをしている俊一でしたが、ある日突然「現実」を突きつけられます。現実、って、ヒドいですよ。理屈の通っていないことばかりだし、全然うまくいかない。でも自分たちはそこに依存して、その中で生きていかなければいけない。否定も遁走もできない。
そんなとき、どうしようもない現実を突きつけられたら……人はどうすればいいのか。なにを選べばいいのか。
難しい話ですよ。
俊一がそこで選んだものは「恋」でした。不確かでやるせなくてアホらしいものですが、俊一はそれに賭けたんですね。そして大きくバットを振った。ヒットになるかどうかは分かりません。三振するか、ホームランになるか……そんなの打った本人にも分かりようがないですよっ。
ただ一つ言えることは、振らなきゃ始まらない……ということ。ヒットも三振もホームランも、犠牲フライもダブルプレーも。振らなきゃ始まらないですよ。
それって日常の中でもよく言われる「ありがちなこと」で、誰にだってできる「そんなこと」ですよ。でも、案外難しい。
でもそれを俊一はやってのけました。しかも、全力で。
フルスイングしたんですねー。
鬱憤がたまりやすい現実ですが、だからこそ、フルスイングしてそれを切り裂くことっていうのも必要ですよ。悲しいことか痛いことも全部そう。三振したってドンマイですよ、振らなきゃ始まらない!
いいから振ってみろって。
FULLSWING 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)